「iPod」でカンニング、米学校で増加中
2007.04.30 Web posted at: 20:49 JST- CNN/AP
アイダホ州メリディアン──学校の生徒は昔から、教師の目をかいくぐってカンニングの方法を編み出してきた。その度に教師は、カンニングに使われる物の持 ち込みを禁止してきた。そんなイタチごっこの戦いの「ブツ」は現在、携帯電話を経て、「iPod」など携帯音楽プレーヤーに移った。学校によっては 「iPod」を教材として配布しているところもあり、どのような対応が適切なのか。教師の悩みは尽きない。
米アップルの「iPod」やマイクロソフトの「Zune」などの携帯音楽プレーヤーは、小型で小さく、様々な情報を保存できる。生徒は、衣服の中にプレーヤー本体を隠し、イヤホンのコードを袖の中に通して、耳の後ろ側からイヤホンをかけ、ほおづえをついてイヤホンを隠す。
アイダホ州マウンテンビュー高校のアーロン・メイボン校長は、「(携帯音楽プレーヤーを使った)カンニングが生徒の間に広まるのに、そう時間はかからない。新しいやり方は、あっという間に広がる」と話す。
同校では近ごろ、携帯音楽プレーヤーに公式などを入力してカンニングしていたことが判明。デジタル・プレーヤーの禁止に踏み切った。
同校の2年生ダミール・バズダール君(16)によれば、iPodによく似た機器にテストの答えを録音して、カンニングする手口があるという。このほか、「歌詞」に見せかけて公式などを保存するやり方もあるという。
3年生のケルシー・ネルソンさん(17)は今まで、テストを終えた後に携帯音楽プレーヤーで音楽を聴いていたが、これからそれが出来なくなるという。
彼女は、どれだけiPodなどを禁止したとしても、カンニングは止められないと話す。「隠そうと思えばいくらでも隠せるし。カンニングする生徒は、小物があろうがなかろうが、カンニングする」というのだ。
マウンテンビュー高校以外でも、カリフォルニア州サンガブリエル高校で、生徒が授業中に使っていたiPodに、テストの解答やノート類が保存されているのが見つかった。ワシントン州シアトルではすでに、音楽プレーヤーを禁止した。
全米中等教育校長協会のシャナ・ケンプ氏によれば、はっきりとした統計はないものの、この傾向は全米に広がりつつあるという。また、音楽プレーヤーなど機器類の禁止も、増加しているという。
一方で、iPodを生徒の教材として配布する学校もある。ノースカロライナ州のデューク大学では、3年前からiPodを学生に配布。学生がどのようにiPodを勉学に利用するか、調査を継続している。
デューク大学によれば、音楽や工学、社会学の授業で、iPodは必要なものだという。また、同校では過去10年間、カンニングは減少傾向にある。これは、学生が学究的な品位を持つことを、強く求められるようになった結果だとしている。
同大学で学問や道徳に関して指導する部門のティム・ドッド氏は、「技術の価値や将来性に関して、対話せずに対抗するのは負け。技術には、何 らかの利点があると思う。教師は、技術がどのように堕落するのかを考えると同時に、どのように教育現場でうまく活用できるかを、考える必要がある」と話し ている。