2007/05/20

科挙カンペ亜種と詳細


はるのうららの中国一夜また一夜物語/ ☆第九十夜☆ 古代の「禁断の書」より:

この本の大きさは、縦13cm×横7.6cmで人民元の10元札程度です。小さいけれど中味はビッシリ。1ページ当り4300余字で65ページ、全部で約28万もの文字が印刷されています。そしてこの本は、見つかったら大変なことになる古代の「禁断の書」!?

本の持ち主は甘粛省蘭州の元学校の先生の郭さん、69歳。郭さんが露天でこの本を買ったのは実はもう40年も前のこと。でもずっと“積ん読”だったんでしょうか?退職してから“5倍拡大鏡”を使って読み始め、やっとこの本の内容を知ったのです。

その内容とは・・・

孔子が弟子を連れて衛の国に赴き 説教したり、衛の霊公と政治や道徳、仁義礼智について討論したり・・・というものでした。

な~~んだ、ツマンナイ~~。

でもこれが、別の意味で面白い本なんです!

この類の豆本は、中国古代に科挙制度が広く行なわれた頃、受験生のカンニング用に作られたもので、現在中国内で2種類のカンニング本の版本が見つかっているそうです。

カンニング本は中国の古書の中でも最も独特で、字体が一番小さく、印刷密度の最も高い、受験生のカンニングのために特別に作られた、古代のご禁制の書!つまり大変に価値のある書籍ってことです。何だか欲しくなっちゃいます!

専門家に本の鑑定をしてもらい、この本の収集価値と本の年代を知りたいと言う郭さんを連れ、記者さんは省図書館の歴史部へ。主任さんの話では、中国では漢・晋の時代に既に携帯に便利な豆本があり、この本がカンニング用の豆本かどうかは本の内容と関係資料を読まないと結論が出ないとのことです。いっそ「なんでも鑑定団」に蘭州出張をお願いしたら~?


さて科挙試験のカンニングは初期からあったそうで、ビッシリと詩文を書き込んだ下着も残されています。カンニング対策の身体検査も厳しかったそうですが、あの手この手でカンニングにチャレンジする受験生は跡を絶たなかったそうです。科挙試験でカンニングがバレると最高死刑!みんな命がけでカンニングに挑んだんですねぇ・・・。

郭さんのこの本がカンニング本だったとしたら、元の所有者は見事カンニングに成功したんでしょうか?それとも哀れあの世行き?もしや可愛い彼女が泣いてすがってカンニングを止めたとか・・・?

色んなドラマを想像して楽しめます。